Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
先生に起されて私たちは、急いで湖辺へ出て見ました。夜もしら/″\明けです。南の外輪山を越したり峡間を抜けて吹いて来る風は、一吹き毎に無形の拳となり、霧の塊を湖面へ向けて投げつけます。霧と霧と打当って大きく巴を巻くもの、霧に霧が呑み込まれるもの、霧と霧が、間の霧を引伸して掴み崩してしまうもの、しかし白濁全体としては真珠色の光を含み、私たちは巨きな鮑貝の中に在るようにも感じられます。霧の薄れ目から、二三十間先には氷の解けたあとの湖水の水が生々しく顔を出し、頻りに浪立っております。卒爾に見ていると判りませんが、こまかく気をつけると、湖心から風上へ揺り戻る浪のはためきで渚の結氷は二寸三寸ずつ壊れて欠けて、湖心へ向け散って行きます。
風は一層つよくなりました。壊れて浮く湖岸の一つ一つの氷片もだん/\寄り集って大きな塊になって来ました。今や氷は、柔い雪をかぶったまゝ二坪三坪ほどの面積となって湖心へ向け漂い始めます。寝起きの事ではあり、あまり珍らしい事ではあり、風も凄しいので、私も葛岡も、たゞ「まあ」とか「ふーむ」とか、感歎の言葉だけ放っていました。
先生は一言も物を言いません。