Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
たゞ壊れて欠けて行く氷塊の一つ/\を思い深そうに見詰めていました。またひと塊が、ゆら/\と揺るぎ出しました。すると先生は、刀身の除いてあるスケート靴を軽く跳ねて、その上へ乗りました。私は思わず手を拍いて、勇ましいことをしなさる。脚幅で跳ねて戻れる距りまで氷塊が漂い出したら先生はまた岸へ帰るだろうと見ていますと、それも過ぎましたので、私はひやりとしました。すると先生はそこで手を振られて、
「さようなら、蝶子さん」
わたくしはその顔を見て、真面目なのを知り、胸から血が頭へ衝き上げるほども驚いて、泣き声を立てゝ叫びました。
「先生! 先生!」
「葛岡さんもお達者でね」葛岡は、たゞ呆気に取られています。わたくしは、渚の氷を踏み壊し、地団太踏んで、
「先生、帰ってよ――」と叫びました。
もう先生の顔は霧に薄れて眼鼻の在所しか見えない距離です。その模糊の中で、先生は着ていた裏毛附の冬外套をさっと脱がれました。雲母色の霧の中に均勢の取れたうす薔薇色の女の裸体がしず/\と影を淡めて遠ざかります。
わたくしは息を呑んだとも、手に空を掴んだとも形容し切れない気持で、たゞ追い眺めていますと、霧の中から先生の声が聞えて来ました。