Classici giapponesi con furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Leggi 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.507 caratteri · 291 schermate
市野さんが帰ったあとで、わたくしは腹の立つのを通り越して、急に悲しくなって来て、床几に腰をかけたまま涙ぐんでいると、外から帰って来た母が見つけて、どうして泣いている、誰かと喧嘩をしたのかとしきりに訊きましたけれども、わたくしはなんにも言いませんでした。それはまあそれですんでしまったんですが、わたくしはどうも気になってなりません。幽霊藻が女の肌に触れると、きっとその女に祟るということを考えると、おそろしいような悲しいような……。いっそ早くそれを母や兄にでも打明けてしまった方がよかったんでしょうが、それを言うのさえ何だか怖いような気がしたもんですから、誰にも言わないでひとりで考えているだけでした。
あとでそれを市野さんに話しますと、それはお前の神経のせいだと笑っていましたけれど、その晩わたくしは怖い夢をみたんです。わたくしの寝ている枕もとへ、白い着物をきて紫の袴をはいた美しい官女が坐って、わたくしの寝顔をじっと覗いているので、わたくしは声も出せないほどに怖くなって、一生懸命に蒲団にしがみ付いているかと思うと眼がさめて、頸のまわりから身体じゅうが汗びっしょりになっていました。