Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きけいのてんにょ

畸形の天女

江戸川 乱歩

Leggi 畸形の天女 (きけいのてんにょ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.893 caratteri · 35 schermate

Aozora Bunko

4

「なんて名?」

「斎田五郎」

「で、きみ、あの青年と寝たことあるの?」

「ある。いちど。無理によ。八幡さまの森の中で、あたいを倒したの。それで、あいつ、あたいを恋人だと思っているのよ。あたいの方じゃ、あいつと寝たなんて考えてないわ。ひとりできめているのよ。あんなやつ、ちっとも好きじゃない。ゾッとするわ。松永さんが百倍も千倍も万倍も好きだわ」

そして、きゃしゃな手が、力いっぱい、彼を抱きしめるのだった。

4

二時間ほどが、またたくうちにたってしまった。ふたりは古畳の上に寝ころがって、たわいもないことをささやき合っていた。その頃は、眼が暗闇になれて、お互の顔も、部屋の中も、はっきり見えた。雨戸はしまっていたけれど、方々破れているので、遠方の光が、うっすらと室内にさしこんでいた。

ふたりの足の方に、破れ障子が、ひらいたままになっていて、ふと気がつくと、その障子の向こうに、何か動いていた。松永は心臓の鼓動が烈しくなるのを意識した。やっぱりそうだった。あいつはここを知っていたのだ。いつのまにか、ここへ忍びこんで、さっきから、長いあいだ辛抱づよく、障子の蔭で、ふたりを見ていたのだ。