Classici giapponesi con furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Leggi 痴人の愛 (ちじんのあい) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 179.399 caratteri · 353 schermate
「譲治さん、剃ってくれるのはいいけれど、一つの条件があることよ」
と、云い出しました。
「条件?」
「ええ、そう。別にむずかしい事じゃないの」
「どんな事さ?」
「剃るなんて云ってゴマカして、指で方々摘まんだりしちゃ厭だわよ、ちっとも肌に触らないようにして、剃ってくれなけりゃ」
「だってお前、―――」
「何が『だって』よ、触らないように剃れるじゃないの、シャボンはブラシで塗ればいいんだし、剃刀はジレットを使うんだし、………床屋へ行っても上手な職人は触りゃしないわ」
「床屋の職人と一緒にされちゃあ遣り切れないな」
「生意気云ってらあ、実は剃らして貰いたい癖に!―――それがイヤなら、何も無理には頼まないわよ」
「イヤじゃあないよ。そう云わないで剃らしておくれよ、折角支度までしちゃったんだから」
私はナオミの、抜き衣紋にした長い襟足を視詰めると、そう云うより外はありませんでした。
「じゃ、条件通りにする?」
「うん、する」
「絶対に触っちゃいけないわよ」
「うん、触らない」
「もしちょっとでも触ったら、その時直ぐに止めにするわよ。その左の手をちゃんと膝の上に載せていらっしゃい」
私は云われる通りにしました。