Classici giapponesi con furigana
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しろあり
白蟻
小栗 虫太郎
Leggi 白蟻 (しろあり) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 54.099 caratteri · 106 schermate
悪夢のような恐怖だけは、どうにも払いようがなくなってしまうのだった。と云うのは、それが稚市の形であって、それには歴然とした、奇形癩の瘢痕がとどめられていたからである。
長男の十四郎と滝人との間に生れた稚市は、ちょうど数え年で五つになるが、その子は生れながらに眼を外けさせるような、醜悪なものを具えていた。しかも、分娩と同時に死に標本だけのものならともかく、現在生きているのだから、一目見ただけで、全身に粟粒のような鳥肌が立ってくる。しかし、顔は極めて美しく、とうてい現在の十四郎が、父であると思われぬほどだが、奇態な事は、大きな才槌頭が顔のほうにつれて盛上ってゆき、額にかけて、そこが庇髪のようなお凸になっていた。おまけに、金仏光りに禿上っていて、細長い虫のような皺が、二つ三つ這っているのだが、後頭部のわずかな部分だけには、嫋々とした、生毛みたいなものが残されている。事実まったく、その対照にはたまらぬ薄気味悪さがあって、ちょっと薄汚れた因果絵でも見るかのような、何か酷たらしい罪業でも、底の底に動いているのではないかという気がするのだった。なお、皮膚の色にも、遠眼だと、瘢痕か結節としか見えない鉛色の斑点が、無数に浮上っているのだけれども、稚市のもつ最大の妖気は、むしろ四肢の指先にあった。