Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんじゅふじん

真珠夫人

菊池 寛

Leggi 真珠夫人 (しんじゅふじん) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 289.296 caratteri · 578 schermate

Aozora Bunko

「先夜って、何時のことです。」青年の声が、だん/\緊張した。

「お忘れになったの? 一昨日の晩のことですよ。」

青年が色を変えて駭いたことが、美奈子にもハッキリと感ぜられた。美奈子でさえ、あまりの駭きのために、胸が潰れてしまった。母は、果して一昨日の夜のことを、美奈子の前で話そうとしているのかしら、そう思った丈で、美奈子の心は戦いた。

「一昨日の晩!」青年の声は、必死であった。彼は一生懸命の努力で続けて云った。

「一昨日の晩? 何か特別に貴女とお話をしたでしょうか。」

必死に、逃路を求めているような青年の様子が、可なり悲惨だった。美奈子は、他人事ならず、胸が張り裂けるばかりに、母が何と云い出すかと待っていた。

「お忘れになったの。」

瑠璃子は、静に冷たく云った。冗談を云っているのでもなければ、揶揄っているのでもなければ、じらしているのでもなかった。彼女も、今夜は別人のように真面目であった。

「忘れる? 一昨日の晩!」青年は首を傾げる様子をした。が、彼の態度は如何にも苦しそうであった。「僕には、ちっとも解りません。一昨日の晩、僕が何か申上げたでしょうか。」

青年の声は、わな/\と顫えた。