Classici giapponesi con furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Leggi 石狩川 (いしかりがわ) di 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 253.535 caratteri · 506 schermate
十一両三歩也、――」と彼は顔をあげた。夕ばえの明るさが燃え立つような赤さであった。しかし、赭土色に染めだされた彼らの顔の半分は暗い蔭にかくれていた。ほーッと誰かが溜息を吐いた。すると堀はあごをしゃくって云った。
「この莫大な損害を、おぬしら、わが現地の役人はどう解決したと思う?――お思いになりますか、阿賀妻さん」
「さあ?」と彼は目をほそめた。
「その隊長のカルペンコなるものがただ一度頭を低げた――」と、そう云った堀の頬がびくびくとふるえた。云うもはずかしいこのいい加減な解決を、彼の方から先まわりして、嘲笑しようとしたが、うまく笑えなかったのだ。だから、次の言葉はわれながら疳に障ってかッととびだした。
「一ぺん頭を低げただけで済みましたよ――済ませましたよ」
「そうでしたか」と阿賀妻はにやりとした。
「そうでしたよ」
堀はにじりつけるようにそう云って相手を見つめた。切れこんだ細い瞼のうえに、鳶色の瞳をすえていた。相手の胸にぶっつけた自分の言葉がどれだけ効果をあげたか――それを見究めようとする眼差しになっていた。
堀という個人の昂奮は、大主典という職務の立場にかき消された。