Classici giapponesi con furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Leggi 石狩川 (いしかりがわ) di 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 253.535 caratteri · 506 schermate
棟梁三次は五郎八茶碗でぐいぐいとあおっていた。初めにさッと赤く顔にでた。そのときは見るもの聞くものことごとく嬉しげなのだ。そこまでが日頃の「一ぱいつける」限度なのであろうか。ほろ酔いの機嫌にまかせて飲みつづけると、あとは見る見る蒼ざめて、うすい瞼の裏にくりくりした出眼が血走って来る。唇が乾くのだ。絶えずそれを舐め湿して、それから毒舌になるのであった。荒涼とした港々のあらい人気をこの鑿一丁でこじあけて来たという猛々しい言葉であった。意識したり、あるいは無意識のうちに滔々とすべりだして来る悪口である。
「やい、おひらきだア?」と彼は身体をねじって松岡にからみついた。
松岡はもう酔ってはいなかった。薄暮のひやッとした空気が川面から動いて来た。
「日も暮れますゆえ」と彼は仕方なしに笑って云った。
「なにがおかしい――ごま化すない、酒が無えんだろう? 無えなら取って来い、金が吝しいなら俺の家から持って来い、菰かぶりの一本や二本なら何時でも用意してあらア、そこえらの、けちなさむらいとは、ちっとばかり異うんだから、なア若えの――ところで、おい、そこの半ぱものの長吉、酒を持って来い、何ちったって今日のこの場合は、俺が棟梁だ、かしらだ、文句があるやつアずーっと前に出ねえ、――承知するかしねえかは、万事この俺の、胸三寸にあるという