Classici giapponesi con furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Leggi 石狩川 (いしかりがわ) di 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 253.535 caratteri · 506 schermate
子供は母親の硬ばるのを感じた。それは漠然としたそらおそろしさであった。
「坊――」
「はい」
「こんなこと――母さまが云うたこと、どなたの前でも云うではありませんぞ」
「はい」
子供は母親を見あげて、その眼の冷たさにぞッと怖毛だった。
――女は内心深く、それとなく考えていたことが急に生き生き表面に出て来るのを感じた。これは自分だけの気持ではないと反省した。それとなく捜って見ようとも考えた。次第によっては男の心を翻すことが出来るかも知れない。ここからは、国の名も同じ地つづきであった。そこに安堵して暮しているものはみんな安楽に見えて来る。そして自分だけ不幸と思う狭い女の胸に、ふいに不逞な思いが湧くのだ。
むろんそれは女にだけあった気持ではない。船の修理を待つ間、そのことに関する限り、彼らは手を束ねているに過ぎない。そういう無為な日を迎え、また、送っているうちに、何かあわい悔恨に捉われていた。毎朝邦夷の前に出て、彼の顔色を見あげた。どちらにでもよい。少しは動いて貰いたいと思うのであった。しかし邦夷は同じ表情で海を見ていた。船が動き得るまで、彼もまた一歩もそこから動き出しそうでなかった。