Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(四) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 229.324 caratteri · 458 schermate

Aozora Bunko

その中の武士のひとりに負ぶさって行った権大ノ局の白い顔は、人心地もないような瞼をふさいでいた。

まもなく。また七、八名の武士にたすけられて、小宰相がここを通った。

彼女は身おもである。やはり男の背に負われていたが、それにしてさえ、喘ぎをしていた。しかし味方の一団をここに見ると、

「みかどは?」

と、すぐたずねた。

名和悪四郎が、それに答えた。

「成田に守られて、ひとまず小迎までお落ちです。その小迎はあといくらでもない。西へ西へお急ぎなされい」

悪四郎たちに囲まれていた能登は、誰よりは複雑な眼で、彼女の通過を、むなしく見ていた。

やがてまた。

三位ノ局廉子が見えた。しかし彼女がこれへ来るまでには、その間、かなりな時間がたった。もしやと、ここの者どもが、案じていたほどである。

遅かったわけは、この期となっても彼女だけは、武士の背などを借らなかったせいであろう。裳をかかげ、草履を結いつけて、歩いて来たのだ。かりそめにも、帝以外の男のからだに縋ろうやという、彼女らしい誇りか潔癖かであったとみえる。

それに、侍者の忠顕や行房とも一つになり、いわばしんがりのかたちにおかれたことも、逃げ難かった羽目を招いていたにちがいない。