Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(四) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 229.324 caratteri · 458 schermate

Aozora Bunko

と、まっ先に立って駈け出した。

はたして、一団の人間を道のかたわらに見いだした。いや逆にこっちを待っていたふうで、

「待てっ」

向うから声があった。

すわと、空間をおいて、殺気が一瞬を冷たくした。矢をつがえ、太刀、長柄もすぐ戦闘を展じうる姿勢となって、由良弥惣次を楯に、くろぐろと、息をのんだ。

「能登の身内と、柵守の衆だな」

わざわざ道へ出て立ちふさがって見せたのは、名和悪四郎なのである。後ろの群れを、眼でさして。

「あわてるな。お身らが捜している能登ノ介清秋はここにおる。いま、能登の口から直接なにか話があるだろう。はやまって、主人の一命に、とどめを刺すようなまねはせぬがよかろう」

「なに?」

信じられない動揺だったが、

「おおっ、能登殿か」

弥惣次以下、つい、おろおろせずにいられなかった。

能登はうなだれていた。その影は日ごろの彼自身を失って、十数名の白刃の中に悄然とかこまれていた。

「能登。申せ」

悪四郎がそういって、彼の背を小突くと、能登は二、三歩よろめき出て、さてそれから、泥土のようなその面を、重たそうにやっと上げた。

「みんな、退いてくれい。おれは思うところがあって、宮方へ寝返った」