Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(四) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 229.324 caratteri · 458 schermate
これが天下の反宮方から、あれほどに狙われている首の持主なのか。大蔵には、その人が、何かふしぎな者に見えた。
豪傑というのだろうか。いやそんな強げな大将でないし、智者ともみえない。あの加賀田の隠者のほうが、よほど学問もありそうで眼もするどい。
では何だろう、この人は。
こう対していても、べつに人を圧する威厳があるわけでもなく、いっかな無口で、茫洋としていて、彼にはつかみどころがなかった。けれど何か一しょにいると、あたたかだった。おそろしい飢えと敵の重囲の中にある気はせず、つつみ隠しもいらない穏やかで正直な人とただ夜を共にしている感だけがあって何もなかった。――あらゆる種類の人間を猜疑し、また嗅ぎつけてきた大蔵なので、その直感だけには自信がもてる。
「正季さま。ちょっと中座させていただきますが」
「どこへ行くのか」
「いま申しあげた権三めを、先にかたづけてまいりますから」
「かたづける?」
「かわいそうですが、背に腹はかえられません」
「よせ、手にかけるのは」
正成が止めた。
「放免の一人ぐらい、逃げたところで大事はない。それよりはまず聞こう。大塔ノ宮の御消息をはなしてくれい」