Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(四) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 229.324 caratteri · 458 schermate
「……右馬どの。もすこし詳しくおきかせ下さいませぬか。どうしてその日が近いと分るのでございますか」
「じつはです」
と、右馬介も彼女の真剣さに気押されて、たんなる慰め言ではすましていられなくなった。
「ほぼ、殿のご上洛が、実現になりそうなのです」
「上方への御出馬が?」
「はい」
「いつですか」
「いやまだ、幕府の任命は出ておりません。けれど、確実なところから洩れた取り沙汰です」
「でも、風説ならこれまでにも、幾たびとなく同様なことが、海東でも言い囃されたことでしたが」
「さ。それは幕府内に、殿を視る眼の揣摩憶測がさまざまにあるからでしょう。しかし昨今の事態は、そんなためらいなど、はやゆるしてはおけません。このたびこそは、相違なく、幕命がくだる。そして殿には即日、ご軍勢をととのえて、ここの海道を馳せのぼられることでしょう」
「途中、この一色村へもお立寄りになられますか」
「いや三河路はお通りになっても、道をまげて、一色村までは、いかがでしょうか。そこは予想しかねますが、この近傍にて、馬匹、食糧などの装備を加え、また幡豆七郷のお味方をも合せて、一路上洛のご用意をととのえるには、少なくも両三日のおとどまりは、まずたしかであろうと思われまする」