Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(四) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 229.324 caratteri · 458 schermate
高氏はしかし、
「不徳のいたすところです」
と言っただけであった。かさねて平伏していた。そして天下多端のときに、この遅れは申しわけないと詫び、さっそく台命を拝受して、武門の当然をつくし、年来の汚名をすすぎますると、今日の主旨たる奉答をした。
「……ウむ。ウむ。……うむ」
高時はなんどもこっくりして聞きすました。そしてやおら、聞き終るとあらたまって。
「よくいった。それでこそ赤橋の婿、又太郎高氏だろう。申し付ける。明日中にきっと出陣せい」
「こころえましてござりまする」
「だが、条件があるぞ高氏」
高時はだまった。あとは長崎円喜にいわせようとするのらしい。が、老獪な円喜はすましていた。常葉範貞、金沢ノ大夫なども同様である。張りつめたままな空間に高時の眼だけがあった。
「ご条件とは?」
ついに高氏から言って出た。
悪びれまいと自分へいってきかせる姿で、一ばい低く、
「何事にございましょうか」
と、かさねて訊いた。
やはり自分から申し渡すのかと、高時は、調法者の道誉を、うつろな中に思っていた。
「足利、ほかではないがの」
「は」
「そちの妻子の問題だ。登子と、そして子供らのことだが」