Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(四) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 229.324 caratteri · 458 schermate

Aozora Bunko

藤夜叉どのの身を、弟師泰が軍中にかくして連れまいったことなどは、どうしてか、いつのまかご存知でもある?」

立ちばなしの二人の姿が、観音堂の方から見えていたか、小姓武者が駈けて来て、

「直義さま、お召しです。師直もなぜ早くせぬかと、ご立腹でございますぞ」

と、大声でいった。

「おっ、ただいま」

急に二人は左右へわかれ、一方の師直は、宿場端れに馬立ちしていた斯波高経の隊へ来て、

「若ぎみを輿にお乗せして、すぐさま、桃井の御供組へ加わるように」

と、高氏の命をつたえ、またその足で、弟の師泰に会い、仔細を語って、

「女性の藤どの、おそらく行く先を疑ッて、さまざま、わけも訊こうし、身化粧にもひまどるだろうが、殿にはすでにお待ちかねだ。またその殿のお胸ときては、ご舎弟にもわしにも分らぬ。ただただ火急な命だ。早くいたせ」

と、せきたてた。

師泰には一そうわけもわからず唐突だった。しかし主命と聞き、これもあたふた、一民家の門内へ駈けこんで行った。そしてまもなく、つい今、兵にいたわられながら休息に入ったばかりの藤夜叉を、ふたたび輿へのせて、往来へ出て来た。

そのころ、高氏は観音堂の森をはなれて、桃井直常を供頭に、わずか四、五十人を連れたのみで、もう街道を不破ノ関のほうへゆるやかにあるいていた。