Classici giapponesi con furigana
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あきのかご
秋の駕籠
山本 周五郎
Leggi 秋の駕籠 (あきのかご) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.356 caratteri · 35 schermate
三十二三だろうか、町同心といった風で、眼つきはするどいがにがみばしった顔つきの、なかなか好男子だった。もう一人は商家の番頭とみえる、四十五六になる肥えた男で、逆上したようなまっ赤な眼をしていた。
「中の者出ろ」同心態の男がこっちの駕籠の脇へ来て云った、「これへ出ろ」
「いったいなんですかい」中次が癇に障ったように云った、「この客はあっし共の知合で、江戸から箱根へおいでになる途中」
「きさまは黙れ、中の者に用があるのだ」と同心態の男はどなり返し、ふところから朱房の十手を出した、「もはやれぬぞ、紬屋藤吉、てまをかけずに出てまいれ」
いそという客が出ようとするので、六助が雪駄を揃えてやった。すると、役人のうしろにいた男が、出て来る客を見るなり、あっと云って指さしをした。
「こいつです、この男です、ええもう間違いはございません、この男でございます」
「なにが私でございますか」客は不審そうに反問した、「私は江戸日本橋槇町で、京呉服の店を営んでいる山城屋五十平という者でございますが」
「こういうしらじらしいことを」
「いや宜しい」役人は男を制した、「こやつが紬屋藤吉だということは自分がよく承知している、ひとまず番所へ曳いてまいろう、……藤吉、御用であるぞ」