Classici giapponesi con furigana
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あさまさんろく
空にむかひて 若杉鳥子随筆集
若杉 鳥子
Leggi 空にむかひて 若杉鳥子随筆集 (あさまさんろく) di 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6542 caratteri · 14 schermate
旧師の家
私が故郷の街から筑波山を見て過ごした月日は随分と永いことだった。
その麓には筑波根詩人といわれている横瀬夜雨氏がいた。故長塚節氏がいた。
そこから五六里の距離にある故郷枕香の里(古名)の青年間にも文学熱が盛んだった。私もいつかそのお仲間に入って詩や歌を作るようになった。そしてその頃河井醉茗氏の主宰していた女子文壇に投書していた。それを機会に横瀬氏から幼稚な汚い原稿を添削して戴いたり、質疑に対して通信教授をして戴いた。その頃夜雨氏には多くの女のお弟子があった。女子文壇は今の文壇に多くの女性作家を送った。その頃の文壇には、自然主義の運動が勃興していた――私はそうした少女時代の追想に耽りながら、結城の街から自動車に揺られていた。
私がまあ横瀬夜雨氏を訪ねたいと思っていたのは何という永い間の宿望だったろう。
少女時代に東京へ出てしまって、時々国へ帰りはしたが東京にいる間は自由なお転婆な自分であっても、一度故郷へ足を踏み入れると、真綿で頸を締められるような老人連の愛情のとりこになって、周囲から降るような干渉を浴び、一歩も他へ出られない中に、いつでも予定の日数が尽きてしまう。