Classici giapponesi con furigana
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とっかんきこう
突貫紀行
幸田 露伴
Leggi 突貫紀行 (とっかんきこう) di 幸田 露伴 (こうだろはん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7819 caratteri · 16 schermate
小石原にていよいよ堪え難きに、雨降り来り日暮るるになんなんたり。やむをえず負える靴をとりおろして穿ち歩むに、一ツ家のわらじさげたるを見当り、うれしやと立寄り一ツ求めて十銭札を与うるに取らず、通用は近日に廃せらるる者ゆえ厭い嫌いて、この村にては通用ならぬよしの断りも無理ならねど、事情の困難を話してたのむに、いじわる婆めさらに聞き入れず。なくなく買わずにまた五六町すぎて、さても旅は悲しき者とおもいしりぬ。鴻雁翔天の翼あれども栩々の捷なく、丈夫千里の才あって里閭に栄少し、十銭時にあわず銅貨にいやしめらるなぞと、むずかしき愚痴の出所はこんな者とお気が付かれたり。ようやくある家にて草鞋を買いえて勇を奮い、八時半頃野蒜につきぬ。白魚の子の吸物いとうまし、海の景色も珍らし。
十九日、夜来の大雨ようよう勢衰えたるに、今日は待ちに待ちたる松島見んとて勇気も日頃にましぬ。いでやと毛布深くかぶりて、えいさえいさと高城にさしかかれば早や海原も見ゆるに、ひた走りして、ついに五大堂瑞岩寺渡月橋等うちめぐりぬ。乗合い船にのらんとするに、あやにくに客一人もなし。ぜひなく財布のそこをはたきて船を雇えば、ひきちがえて客一人あり、いまいましきことかぎりなし。