Classici giapponesi con furigana
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かさおりはんくろう
笠折半九郎
山本 周五郎
Leggi 笠折半九郎 (かさおりはんくろう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.004 caratteri · 26 schermate
、第3水準1-87-64)の叫びと、建物の焼け落ちる轟きと、物のはぜ飛ぶ劈くような響が、怒濤のように揉み返していた。……煙は火を映しながら、まるで生き物のように立昇り、恐ろしい渦を巻いて崩れたかと見ると、八方に翼を拡げて地を掃き、再び空へと狂気の如く舞いあがった。
砂丸を焼いた火と、西丸を焼く火とが、両方から多門塀を伝って近づいて来た。
「みんな此処で死ね、一人も退くな」
半九郎は繰返し叫んだ。
「卑怯な真似をする奴は斬るぞ!」
息もつけぬような煙が巻いて来た。煽りつける火気は肌を焦がすように思えた。……襲いかかる火の粉を必死と払いながら、半九郎は火の海のなかに、力強く屹然と立っている天守閣の壮厳な姿を見た。それは大磐石の姿だった。
――大丈夫だ、この櫓は助かる。
彼は神を信ずるようにそう確信した。
事実その櫓は焼けなかった。十七人の死を賭した働きが、ついに猛火を防ぎ止めたのである。半九郎をはじめ多少ともみんな火傷をした。手を折った者もあった。誰の衣服も焦げ跡のないものはなかった。鬢髪の焼け縮れていない者はなかった。しかしそんなことはなんでもなかった。