Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいよんのおっとから

第四の夫から

芥川 竜之介

Leggi 第四の夫から (だいよんのおっとから) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2580 caratteri · 6 schermate

Aozora Bunko

この手紙は印度のダアジリンのラアマ・チャブズン氏へ出す手紙の中に封入し、氏から日本へ送って貰うはずである。無事に君の手へ渡るかどうか、多少の心配もない訣ではない。しかし万一渡らなかったにしろ、君は格別僕の手紙を予想しているとも思われないからその点だけは甚だ安心している。が、もしこの手紙を受け取ったとすれば、君は必ず僕の運命に一驚を喫せずにはいられないであろう。第一に僕はチベットに住んでいる。第二に僕は支那人になっている。第三に僕は三人の夫と一人の妻を共有している。

この前君へ手紙を出したのはダアジリンに住んでいた頃である。僕はもうあの頃から支那人にだけはなりすましていた。元来天下に国籍くらい、面倒臭いお荷物はない。ただ支那と云う国籍だけはほとんど有無を問われないだけに、頗る好都合に出来上っている。君はまだ高等学校にいた時、僕に「さまよえる猶太人」と云う渾名をつけたのを覚えているであろう。実際僕は君のいった通り、「さまよえる猶太人」に生れついたらしい。が、このチベットのラッサだけは甚だ僕の気に入っている。というのは何も風景だの、気候だのに愛着のある訣ではない。