Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Leggi 細雪 (ささめゆき) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 226.715 caratteri · 431 schermate

Aozora Bunko

奥畑はそう云いながら、片脚をすっかり縁側の閾に載せて、真っ直ぐに伸ばして、開け切った硝子障子の縁を踵で押さえ、新調の靴が妙子の方へよく見えるようにした。

「―――今やさかい云うけど、こいさん危なかったんやで」

「ふん。―――分ってたわ、そんなこと」

と、妙子がわりに力のある声で応じた。

「―――地獄の一丁目まで行って来たわ」

「いつ頃起きられるようになるやろう? 今年のお花見フイにしてしまうで」

「うち、お花見より菊五郎が見たいわ」

「そんな元気があるのんやったら、もう大丈夫や」

そう云って奥畑は、

「どうですやろ、今月中に出歩けるようになりまっしゃろか」

と、「水戸ちゃん」の顔を見たが、

「さあ、………」

と云ったきり、「水戸ちゃん」も相手にならなかった。

「僕昨夜、坂口楼で菊五郎と一緒やった」

「誰が菊五郎呼びやはったん?」

「柴本君が呼んでん」

「あの人、えらい六代目贔屓やてな」

「この間から一遍六代目と飯食うさかい来給え云われててんけど、六代目の奴、なかなか来おれへなんでん。―――」

生れつき急勝で、注意力が散漫で、じっと一つ事に身を入れることの出来ない奥畑は、見る物と云ってはせいぜい映画ぐらいなところで、芝居などは辛気臭がってめったに覗かないのであるが、それでいて俳優と交際することを好み、以前金廻りの好かった時代には、しばしば彼等