Classici giapponesi con furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Leggi 細雪 (ささめゆき) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 226.715 caratteri · 431 schermate
それにしても、身内の者は却って思い及ばなかったけれども、三四箇月のお腹と云えば炯眼な人には随分感づかれる恐れがあるのに、宴会だの観劇だのと云う衆人環視の場所へ姿を曝して平気でいるとは、何たる大胆さであろうか。第一、今が最も乗物を警戒すべき時期であるのに、長時間汽車に揺られたりして、もしものことがあったらばどうするのであろうか。自分はそれでもよいとして、幸子たちがどんなに慌てたり耻を掻いたりしなければならないか。幸子はそれを考えただけでも胸がヒヤリとするのであったが、事に依るともう、昨夜の会あたりで誰かに感づかれてしまったような気もして、知らないうちに自分たちは耻を掻かされているようにも思えた。………
それもこれも、何も彼も、出来てしまったことであるなら仕方がないとして、今度も此方が馬鹿であったと云うことにしてもよいけれども、どうせ今迄あたしに隠していたのであったら、せめて告白するのにも、もう少し適当な時と所とを選んでくれることは出来なかっただろうか。こんな旅先の、取り散らかしたホテルの一室で、此方が疲れ切って寝ようとしている時、心に何の用意も出来ていない時に、いきなりドカンと、大袈裟に云えば天地が引っくり覆るような事実を聞かすとは、あんまり残酷ではないか。