Classici giapponesi con furigana
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みどりのめ
緑の芽
佐左木 俊郎
Leggi 緑の芽 (みどりのめ) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4815 caratteri · 10 schermate
一
弾力に富んだ春の活動は、いたるところに始まっていた。
太陽は燦爛と、野良の人々を、草木を、鳥獣を、すべてのものを祝福しているように、毎日やわらかに照り輝いた。農夫は、朝早くから飛び起きて、長い間の冬眠時代を、償おうとするかのように働いていた。
菊枝はまだ床の中で安らかな夢に守られているらしかった。父親は、朝飯前にと、近所へ出掛けたきり、陽は既に高く輝いているのにまだ戻らなかった。祖父は炉端で、向こう脛を真赤にして榾火をつつきながら、何かしきりに、夜更かし勝ちな菊枝のことをぶつぶつ言ったり、自分達の若かった時代の青年男女のことを呟いていた。そして時々思い出したように、どうしても我慢がならねえ……と言うように、菊枝の眠っている部屋の方へ、太いどら声で呼びかけた。
「菊枝! 菊枝! もう、午になってはあ! もう、てえげに起きだらいかべちゃは。」
こう祖父は、幾度となく呼び起こした。けれども、彼女は、すやすやと眠っているらしく、なんとも答えなかった。
彼女が自分自身の時間を惜しむ近頃の癖から、もう一つは口やかましい祖父に対する反感から、眠り果てぬ眠りを装うているのだということは、祖母も母も感付いていた。