Classici giapponesi con furigana
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びしょうねん
美少年
岡本 かの子
Leggi 美少年 (びしょうねん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.417 caratteri · 27 schermate
羽目板を木目の浮き出るまで洗い上げた砂場という蕎麦やが角にある。隣に芸妓の検番があって、芸妓や箱やの激しい出入口を除けた向うからずらりと雑多な夜店が並び出していた。カンテラの灯に照し出され花模様の屏風を立て並べたように見える。それ等の夜店の列に引較べてうしろの町家の家並は黝ずみ返って見える。
少年は夜店の品なぞは珍らしくもないようだった。不興な気持を賑かさに掻き消され、ともすれば立止って見たがるわたしの手首を少年はぐいぐい引張り先を急いだ。しかし、夜店のうしろの家並の職業に就ては口早にわたしに説明した。印判屋の次が鼈甲や、その次がけいあんと呼ぶ雇人口入業、油やに銅壺や――少年の下町句調で唇から滑らかに出るこれ等の特色ある職業の名を聞くと、少年が察したであろう通りわたくしの好事のこころを充すと同時に、下町の中にいることをしみじみわたしに感じさせた。そしてこういう環境の中で育った少年に、山の手令嬢のわたしに解し難い不思議なものがあるのは無理でないと思うばかりか、今はこの少年を産地の違った湖沼からでも出た珍らしくも美しい魚のように眺めやるのであった。