Classici giapponesi con furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Leggi 聞書抄 (ききがきしょう) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 108.821 caratteri · 210 schermate
お文があって、それを御所から私の宿へわざ/\届けて下すったのです。ほんとうに何と云う有難いことか、その時の御所様の御恩は報じようもありませぬ。それにつけても浮世はあじきないものだ、たとい尾上殿に逢うことが出来ても、わずか一と夜の夢のような情にあずかるのに過ぎないものを、今こそ遁世をする時だと、その折わたしはそう思いながら、又考え直してみますと、糟屋と云う男は二条殿の女房を恋い申し、将軍のお声がゝりでよう/\願いがかなうようになったと思ったら、急に気が臆して世を遁れたと云われるのも生涯の耻だ、せめて一と夜逢いさえしたら、それから後は兎も角もなろうと思い定めて、或る晩のこと、別に際立ってどうと云う身じまいもしませんけれど、少しはなりふりに念を入れ、若党を三人つれて、案内者を立てゝ、夜の更けた時分に二条殿の御所へ参りましたら、結構なお座敷を屏風や唐絵で飾ってある中に、同じ年頃の女房たちが五六人花やかに立ち出でゝおられる所へ通されたのです。先ず御酒が出る、茶や、香や、さま/″\の遊びが始まる。けれども孰れが尾上殿やら、何しろ一と目見たゞけですし、いずれも/\美しい