Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ききがきしょう

聞書抄

谷崎 潤一郎

Leggi 聞書抄 (ききがきしょう) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 108.821 caratteri · 210 schermate

Aozora Bunko

その四

ましてこれほど熱心に話したがっているものを無下に断るのも不本意であり、又殿様にも関係のあるらしい昔語を聞いてみたくもあるけれども、さしあたっての当惑は、ついうか/\と引き留められて、いつの間にか時刻が移って来たことであった。乳母は夜露にしっとりと湿って重くなっている娘の袂に触ってみて、追い/\冷えて来るのに、風邪を引かせてはならないと思った。それに第一、こんなに遅くまで帰らないでは宿でも案じているであろうし、この上行者の長話を聞いていたら、いかな秋の夜も明けてしまうかも知れないのである。

その四

二人が躊躇するのを見て、行者は新たな提議をした。なるほど、こんな時刻にこんな所で立ち話をしてもいられないし、帰り路の心配もあるであろうから、強いておすゝめは出来ないけれども、それなら一寸、愚僧と一緒に畜生塚へお参りをして下さらぬか。もしお身たちが治部少輔殿の後生を弔うつもりであるなら、何を措いても関白殿の一族を回向することが大切である、あの人たちは草葉の蔭で今も治部殿を恨んでいるので、彼等の霊を慰めることが、此の佛に対しても何よりの功徳になる、長くはお引き留め申さないから、その上でお宿へお帰りになるのもよいし、夜路が淋しいと思し召したら、むさい所ではあるけれども、愚僧の庵で一と夜をお明かしなされてもよくはないかと云う