Classici giapponesi con furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Leggi 聞書抄 (ききがきしょう) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 108.821 caratteri · 210 schermate
達にお会い申すことが出来ましたのは、矢張御佛のお引き合わせだと思われてなりませぬ。分けてもそこにござらっしゃるお姫様、―――」
そう云いかけて、
「のう、もし」
と、見えぬ眼を娘の方へ向けた。
「愚僧はお姫様がどういうお方でいらっしゃいますか、よう知っておりまする。これから先は貴い御身に勿体ない御苦労を遊ばす事でござりましょうが、でも世の中にはお姫様よりもっと/\お傷わしい目にお遇いなされたお子達がおいでなされますぞえ。そのお子達はな、関白殿と云う偉いお方をお父様にお持ちなされ、聚楽第と云う立派な御殿にお住まいなされていらっしゃいましたが、愚僧の舊の主人、石田治部少輔殿のお計らいで、それ、その橋の下で斬られてお了いなされたのじゃ。されば愚僧は、誰よりもお姫様にそのお話をして上げたいのでござりますが、………」
娘は一層乳母の方へ寄り添いながら薄気味の悪い行者の顔と乳母の顔とを見くらべているばかりであったが、乳母も此の場合、何と挨拶したものか途方に暮れているらしかった。行者の云うことがほんとうなら、同じ主家に奉公をした侍がこんな姿に落ちぶれているのは、今のわが身に思い合わせて満更哀れでないこともない。