Classici giapponesi con furigana
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はだいろのつき
肌色の月
久生 十蘭
Leggi 肌色の月 (はだいろのつき) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.706 caratteri · 101 schermate
灰緑から海緑までのあらゆる色階をつくした、ただ一色の世界で、車もろとも緑の中へ溶けこんでしまうのではないかというような気がした。
林の中の道を行きつくすと、また湖の岸に出た。樹牆に囲まれた広い芝生の奥、赤煉瓦の煙突のついた二階建のロッジの前で車が停った。
「この家だ。住み荒して、見るかげもない破家だが」
玄関のつづきは大きな広間で、天井に栂の太い梁がむきだしになり、正面に丸石を畳んだ壁煖炉がある。広間の右端の階段から中二階の寝室にあがるようになっている。
久美子が濡れしょぼれ、みじめな恰好で火のない煖炉のそばに立っていると、
「そうだ。そいつは脱がなくちゃいけない」
主人は二階へ行って、ピジャマと空色の部屋着を抱いて戻ってきた。
「ともかく、これと着換えなさい。風呂場にタオルがあるから……その間に、煖炉を燃しつけておく」
久美子は言われたように風呂場へ行き、濡れしおったものを脱いでピジャマに着換えた。部屋着を羽織って広間へ戻ると、煖炉の中で松薪がパチパチと音をたてていた。
「火の要る季節じゃないが、これはあなたへのご馳走だ」
「そんなにしていただくと、なんだか申訳なくて」