Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はだいろのつき

肌色の月

久生 十蘭

Leggi 肌色の月 (はだいろのつき) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.706 caratteri · 101 schermate

Aozora Bunko

「あなたも堅っ苦しいひとだね。いちいち礼をいうことはない……まあ、その椅子に掛けなさい。名乗りをしなかったが、私は大池忠平……」

「申しおくれました。あたくし栂尾ひろと申します」

「これも、なにかの縁でしょうな。以後、御別懇に……絵を描くひとに、こんなことをいうのは妙なもんだが、風景ってのは、油断のならないものだと思うんだが、あなたはそんなことを考えたことはないですか」

と、思わせぶりなことをいいだした。

「ここへ来る途中で思いだしたんだが、あなたのような絵を描くひとに、いちどたずねてみたいと思っていたことがあるんだ」

「あたしなどにわかりそうもないけど」

「四、五年前、この湖へ身投げをした女があった。その女の亭主だと思うんだが、蓑笠をつけた男が、雨の降る中を、菱を分けながらさがしまわっていた……この湖では、死体があがったためしがないんだから、そんなことをしたって無駄な骨折りなんだが、いく日もいく日も、あきらめずにやっている……それを見てから、私の自然観にたいへんな変化が起った……それまでは、見たままの自然で満足していたものだったが、それ以来、ひどくひねくれてしまって、すぐ自然の裏を考える。