Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

のお露の亡霊を思いだした。ぞっとした。実際に、打ちしおれた光丸の姿は、そのまま、スウッと、霧の中に消えて行くのではないかと思われた。光丸は、うなだれて、力のない足どりで歩きだした。コヨの方へ近づいて来た。コヨは電柱に立てかけてある、大きな映画宣伝の立看板のかげに隠れた。小柄なコヨの身体はすっぽりと入る。看板には、国定忠治が、背に幼児を負い、御用提灯をひらめかす大勢の捕手役人を相手に、大刀をふるっている絵が、けばけばしい色彩で描かれてあった。

光丸は看板の前を通りすぎた。

そっと、コヨは顔を出して、その姿を見送った。

後姿が霧にうすめられかけたとき、光丸は、くるりと、ふりむいた。

びっくりした。あわてて、顔を引っこめた。

「おコヨ姐さんの馬鹿」

投げつけるような声がしたと思うと、にわかに、カラカラと、下駄の音が遠ざかって行った。

顔を出してみたときには、霧ばかりだった。……

「それから、ここへ帰って来たというんじゃね?」

金五郎が、訊く。

「いいえ、まだ、先がありますたい。一たん別れることは別れても、また、思いかえして、どこかで逢うということも、ないこっちゃない。