Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わかきひのせっつのかみ

若き日の摂津守

山本 周五郎

Leggi 若き日の摂津守 (わかきひのせっつのかみ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.437 caratteri · 47 schermate

Aozora Bunko

八

光辰は口のまわりを拭いた、「いや、そのまえに云っておきたいことがある、いつかおまえは、おれが作りばかをよそおっているのではないかと訊いた、そうだったな」

「はい」とおたきは頷いた。

「そのときおれは作りばかではない、このとおりの人間だと云った」光辰は静かに首を振った、「あの言葉は嘘ではない、けれども言葉どおりでもないのだ、おれはたしかに知能もおくれているし、見るとおり、この年になっても涎をながす、誰の眼にもおろかにみえるだろうし、これは少しもよそおっているものではない、だが、初めからこんなふうではなかった、おれはこういう人間になろうと努めて来たのだ」

おたきは訝しそうに頭をかしげた。

光辰は兄の光央のことを語った。源三郎光央は十五歳のとき、狂倚の質である、という理由で廃嫡された。しかし、事実は違う、光央はひじょうに頭がよくて、早くから藩政に関心をもち、学友や若い近習番の中から、頼むにたるとみた者を選んだうえ、藩内の事情をひそかに検討していた。

八

それが、当時の側用人である栗栖采女に知られ、重臣たちの協議で「狂倚の質」という札を貼られたうえ、廃嫡ということになった。