Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
わかきひのせっつのかみ
若き日の摂津守
山本 周五郎
Leggi 若き日の摂津守 (わかきひのせっつのかみ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.437 caratteri · 47 schermate
しかしその日は例年「初鮎」の日ときまっているそうで、すっかり支度ができているから延ばすわけにはいかない、と重太夫が云った。もちろんさからうことはできない。光辰はくたびれたような気分ででかけた。――漁場は幡野村というところで、賀名川と安井川の合流点から少し下に当っており、鴨猟のときと同じように、半ば河原へかけて新しい仮屋が建ててあった。
漁法は簗と投網で、簗は合流点に掛けてあり、投網は仮屋の前で、十人の漁人が技をきそった。
「あんなふうにいかないものかな」
投網技を眺めながら、光辰はふとそう呟き、袖で口のまわりを拭いた。
「は」と云って、永井民部がうしろから身をのばした。
「なんでもない」と光辰は云った、「あ――れは焼かずに持っているぞ」
民部は黙って、のばした躯をまっすぐにした。
あのときの書類は罠ではなかった。あれから日数が経っているのに、なにごとも起こらない。重太夫はじめ重臣たちにも、変ったようすはみられなかった。光辰はそのことを思いだして、民部に自分の意志を伝えたのであった。うしろにいる民部が、そのときどんな顔をしたか光辰にはわからなかった。だが、なにも云わずに坐り直したけはいで、彼がその意味を了解したことだけは見当がついた。