Classici giapponesi con furigana
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わかすぎさいばんちょう
若杉裁判長
菊池 寛
Leggi 若杉裁判長 (わかすぎさいばんちょう) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.238 caratteri · 21 schermate
すると、若杉さんの前へ、もう一人青年が来たそうです。この男はこの場の事情を若杉さん以上に知らなかったと見え、ミルク屋の入口に近づいて、家の中を覗き込むようにしていたそうです。すると、もう縛り上げる罪人の種が尽きたとみえ、いちばん最後に手ぶらでミルク屋を出ようとした土工体の男は、入口に立ち塞がっているこの青年が邪魔になったとみえ、
「退け! 何を見ていやがるんだ」と、怒鳴りつけたばかりでなく、荒々しくその青年を突き退けました。むろんこの青年は、この男が自分の持たぬある権力を持った刑事であることを知りません。
「何をするんだい!」と、怒鳴り返しながら、勢いよくその刑事に、飛びかかりました。するとその刑事は、
「何! 反抗する! 反抗するなら、警察へ来い」と、いいながら、乱暴にも、その青年の手を、縛りにかかりました。おそらく、同僚が皆それぞれ獲物を連れて帰るのに、自分一人、手ぶらで帰るのは、この刑事にとってはちょっと不快なことであったのに相違ありません。なんでもいいから、ともかくも、一人縛って帰ろうという、悪い了見らしかったのです。青年は、相手が刑事だときくと少したじたじとしたようでしたが、それでも威勢よく反抗していました。