Classici giapponesi con furigana
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わかすぎさいばんちょう
若杉裁判長
菊池 寛
Leggi 若杉裁判長 (わかすぎさいばんちょう) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.238 caratteri · 21 schermate
が、力において勝った刑事は、難なく青年の右の手に捕縄をかけて、とうとう引っ張って行くじゃありませんか。おそらく、職務執行妨害とでもいうような罪名で、ともかくも、警察へ拉して行こうという肚らしいのです。しかも若杉さんたちの立っていたところから、二、三間離れたところへ引きずって行ってから、顔を二つ三つひっぱたいたらしい、音さえきこえたそうです。おそらく、こんな刑事の乱暴は、現代の進歩した警察制度の下では、決して行われてはおりますまい。が、若杉さんの高等学校時代、即ち今から十数年前では、明らかに行われていたことに相違ありません。
多感な青年であった若杉さんが、これを見て極度に憤慨したのも、無理はありません。人権の蹂躪、人間に対する侮辱、それは正義の観念があくまでも強かった若杉さんにとっては、身の毛もよだつほどの不平であったのです。彼は、国家の権力が、こうした野蛮な人間によって乱用せられることを、身震いするほど恐ろしく思いました。
その晩、寄宿舎へ帰ってからも、そうした不正に対する義憤は、なかなか静まりませんでした。床に就いてからも、またそのことを思い続けていました。