Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くさまくら

草枕

夏目 漱石

Leggi 草枕 (くさまくら) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 84.485 caratteri · 170 schermate

Aozora Bunko

どうしても狂印だね」

「どうかしたのかい」

「そんなに可愛いなら、仏様の前で、いっしょに寝ようって、出し抜けに、泰安さんの頸っ玉へかじりついたんでさあ」

「へええ」

「面喰ったなあ、泰安さ。気狂に文をつけて、飛んだ恥を掻かせられて、とうとう、その晩こっそり姿を隠して死んじまって……」

「死んだ?」

「死んだろうと思うのさ。生きちゃいられめえ」

「何とも云えない」

「そうさ、相手が気狂じゃ、死んだって冴えねえから、ことによると生きてるかも知れねえね」

「なかなか面白い話だ」

「面白いの、面白くないのって、村中大笑いでさあ。ところが当人だけは、根が気が違ってるんだから、洒唖洒唖して平気なもんで――なあに旦那のようにしっかりしていりゃ大丈夫ですがね、相手が相手だから、滅多にからかったり何かすると、大変な目に逢いますよ」

「ちっと気をつけるかね。ははははは」

生温い磯から、塩気のある春風がふわりふわりと来て、親方の暖簾を眠たそうに煽る。身を斜にしてその下をくぐり抜ける燕の姿が、ひらりと、鏡の裡に落ちて行く。向うの家では六十ばかりの爺さんが、軒下に蹲踞まりながら、だまって貝をむいている。