Classici giapponesi con furigana
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とうじゅうろうのこい
藤十郎の恋・恩讐の彼方に
菊池 寛
Leggi 藤十郎の恋・恩讐の彼方に (とうじゅうろうのこい) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 37.146 caratteri · 74 schermate
しかも、あの二つのお眸が美しい私の身に取っては、懐しさこの上もない光を放って、犬塚信乃になった私の身体を、突き透すほどに鋭く、見詰めておられるではありませんか。それは、明かに恋の瞳です。恋に狂っている女の瞳です。私は貴女から手酷く拒絶せられたのを忘れて、やっぱり貴女は私を思っていて下さるのだと、考えずにはいられませんでした。が、あの日私が又々無躾を申して、貴女様から、手酷く拒絶されたことは申上げますまい。が、その後も貴女様は毎日のようにお見えになりますので、私の無躾な申出が、貴女の気に触ったので、貴女が私を思って下さる事には変りはないのだと、私はホット安堵の胸を撫でずにはいられませんでした。時期を待たねばならぬ。貴女が自然に私にお心を、打明けて下さるまで、静に待っているより外はないと私は覚悟を決めて、それ以来は、ただ舞台の上だけからじっと貴女を見詰めていたのです。その時から、もう一年半になります。その間、貴女の私を見詰めて下さるお眸は段々輝いて来るばかりで、今にも今にも貴女のお心の中の思は、張り裂けるだろうと、私は考えずにはいられませんでしたのに、貴女は御熱心に舞台の上の私を見詰めて下さるだけで、一寸も一分も私に近づこうとはなさらないのであります。