Classici giapponesi con furigana
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とうじゅうろうのこい
藤十郎の恋・恩讐の彼方に
菊池 寛
Leggi 藤十郎の恋・恩讐の彼方に (とうじゅうろうのこい) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 37.146 caratteri · 74 schermate
彼は、そう決心すると、
「おい! みんな!」と、周囲に散かっている乾児達を呼んだ。烈しい叱り付けるような声だった。喧嘩の時などにも、叱する忠次の声だけは、狂奔している乾児達の耳にもよく徹した。
草の上に、蹲まったり、寝ころんだり、銘々思い思いの休息を取っていた乾児達は、忠次の一喝でみんな起き直った。数日来の烈しい疲労で、とろとろ眠りかけているものさえあった。
「おい! みんな」
忠次は、改めて呼び直した。『壺皿見透し』と、若い時綽名を付けられていた、忠次の大きい眼がギロリと動いた。
「みんな! 一寸耳を貸して貰いてえのだが、俺これから、信州へ一人で、落ちて行こうと思うのだ。お前達を、連れて行きてえのは山々だが、お役人をたたっ斬って、天下のお関所を破った俺達が、お天道様の下を、十人二十人つながって歩くことは、許されねえ。もっとも、二三人は、一緒に行って貰いてえとも思うのだが、今日が日まで、同じ辛苦をしたお前達みんなの中から、汝は行け汝は来るなと云う区別は付けたくねえのだ。連れて行くからなら、一人残らず、みんな一緒に連れて行きてえのだ。別れるからなら、恨みっこのねえように、みんな一様に別れてしまいてえのだ。