Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ろうにんぎょう

蝋人形

小川 未明

Leggi 蝋人形 (ろうにんぎょう) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4886 caratteri · 10 schermate

Aozora Bunko

夏は東京は暑いだろうな、そんなに急いで行くにや及ばん、涼しくなってから帰えれ。」と、いつになくその日は上機嫌であった。

其様ことで清吉はついに何もせずにぶらりぶらりとその日を送って、もはやいつしか春も過ぎてしまった。母親は清吉にそう遊んでばかりいてはつまらないから、此方で人形を造ってはどうだかというと、土や、絵具や、型を取り寄せるのに面倒だから、今迄やって見たことはないが、家で蝋燭を造る蝋があるから、一つためしに蝋人形を造って見ようかと言い出した。

「蝋で人形が出来るなら、それでも造って銭にせよ。」と母親がいった。

その日から清吉は父親と仕事場に並んで蝋を煉っては人形の形を造って見るが、何うも自分がかつて東京にいて見たような西洋の蝋人形のようにはうまく行かなかった。毎日毎日根気よく同じようなことを繰返していたが、とうとう夏から秋にかけて――尤もその中の半分余は無駄に遊んだ――たった三つばかりしか出来上らなかった。

母親もどうせ今度は養生に来たのだから、銭取をせなくても小言はいわれぬと思ってか別段叱りもしなかった。然るに清吉は、いつも暮方になると涼みに海の方へと行った。