Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はえ

蠅

海野 十三

Leggi 蠅 (はえ) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.774 caratteri · 40 schermate

Aozora Bunko

小春日和の睡さったらない。白い壁をめぐらした四角い部屋の中に机を持ちこんで、ボンヤリと肘をついている。もう二時間あまりもこうやっている。身体がジクジクと発酵してきそうだ。

白い天井には、黒い蠅が停っている。停っているがすこしも動かない。生きているのか、死んでいるのか、それとも木乃伊になっているのか。

それにしても、蠅が沢山いることよ。おお、みんなで七匹もいる。この冬の最中に、この清潔な部屋に、天井から七匹も蠅がぶら下っていてそれでよいのであろうか。

そう思った途端に、耳の傍でなんだか微かな声がした。ナニナニ。蠅が何かを咄して聴かせるって。

ではチョイト待ちたまえ。いま原稿用紙とペンを持ってくるから……。

オヤ。どうしたというのだろう。持って来た覚えもないのに、原稿用紙とペンが、目の前に載っているぞ。不思議なこともあればあるものだ。――

第一話 タンガニカの蠅

「あのウ、先生。――」

と背後で声がした。

クリシマ博士は、顕微鏡から静かに眼を離した。そのついでに、深い息をついて、椅子の中に腰を埋めたまま、背のびをした。

「あのウ、先生」

「む。――」