Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうじん

行人

夏目 漱石

Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate

Aozora Bunko

彼を強いた五六人の友達は、久しぶりだからという口実のもとに、彼を酔わせる事を御馳走のように振舞った。三沢も宿命に従う柔順な人として、いくらでも盃を重ねた。それでも胸の下の所には絶えず不安な自覚があった。ある時は変な顔をして苦しそうに生唾を呑み込んだ。ちょうど彼の前に坐っていた「あの女」は、大阪言葉で彼に薬をやろうかと聞いた。彼はジェムか何かを五六粒手の平へ載せて口のなかへ投げ込んだ。すると入物を受取った女も同じように白い掌の上に小さな粒を並べて口へ入れた。

三沢は先刻から女の倦怠そうな立居に気をつけていたので、御前もどこか悪いのかと聞いた。女は淋しそうな笑いを見せて、暑いせいか食慾がちっとも進まないので困っていると答えた。ことにこの一週間は御飯が厭で、ただ氷ばかり呑んでいる、それも今呑んだかと思うと、すぐまた食べたくなるんで、どうもしようがないと云った。

三沢は女に、それはおおかた胃が悪いのだろうから、どこかへ行って専門の大家にでも見せたら好かろうと真面目な忠告をした。女も他に聞くと胃病に違ないというから、好い医者に見せたいのだけれども家業が家業だからと後は云い渋っていた。