Classici giapponesi con furigana
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けさともりとお
袈裟と盛遠
Leggi 袈裟と盛遠 (けさともりとお) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7566 caratteri · 16 schermate
いや、むしろ、己はあの男に同情していると云っても、よいくらいだ。衣川の口から渡が袈裟を得るために、どれだけ心を労したかを聞いた時、己は現にあの男を可愛く思った事さえある。渡は袈裟を妻にしたい一心で、わざわざ歌の稽古までしたと云う事ではないか。己はあの生真面目な侍の作った恋歌を想像すると、知らず識らず微笑が唇に浮んで来る。しかしそれは何も、渡を嘲る微笑ではない。己はそうまでして、女に媚びるあの男をいじらしく思うのだ。あるいは己の愛している女に、それほどまでに媚びようとするあの男の熱情が、愛人たる己にある種の満足を与えてくれるからかも知れない。
しかしそう云えるほど、己は袈裟を愛しているだろうか。己と袈裟との間の恋愛は、今と昔との二つの時期に別れている。己は袈裟がまだ渡に縁づかない以前に、既に袈裟を愛していた。あるいは愛していると思っていた。が、これも今になって考えると、その時の己の心もちには不純なものも少くはない。己は袈裟に何を求めたのか、童貞だった頃の己は、明らかに袈裟の体を求めていた。もし多少の誇張を許すなら、己の袈裟に対する愛なるものも、実はこの欲望を美しくした、感傷的な心もちに過ぎなかった。