Classici giapponesi con furigana
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けさともりとお
袈裟と盛遠
Leggi 袈裟と盛遠 (けさともりとお) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7566 caratteri · 16 schermate
それが証拠には、袈裟との交渉が絶えたその後の三年間、成程己はあの女の事を忘れずにいたにちがいないが、もしその以前に己があの女の体を知っていたなら、それでもやはり忘れずに思いつづけていたであろうか。己は恥しながら、然りと答える勇気はない。己が袈裟に対するその後の愛着の中には、あの女の体を知らずにいる未練がかなり混っている。そうして、その悶々の情を抱きながら、己はとうとう己の恐れていた、しかも己の待っていた、この今の関係にはいってしまった。では今は? 己は改めて己自身に問いかけよう。己は果して袈裟を愛しているだろうか。
が、その答をする前に、己はまだ一通り、嫌でもこう云ういきさつを思い出す必要がある。――渡辺の橋の供養の時、三年ぶりで偶然袈裟にめぐり遇った己は、それからおよそ半年ばかりの間、あの女と忍び合う機会を作るために、あらゆる手段を試みた。そうしてそれに成功した。いや、成功したばかりではない、その時、己は、己が夢みていた通り、袈裟の体を知る事が出来た。が、当時の己を支配していたものは、必しも前に云った、まだあの女の体を知らないと云う未練ばかりだった訳ではない。