Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
せいこのしじん
西湖の屍人
海野 十三
Leggi 西湖の屍人 (せいこのしじん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.487 caratteri · 39 schermate
の空も見えないのだった。そして急に冷え冷えとした山気のようなものが、ゾッと脊筋に感じる。そのとき人は、その急坂に鼠の姿を見るだろう。その鼠は、あの敏捷さをもってしても、このぬらぬらした急坂を駈けのぼることができないで、徒にあえいでいる――これが鼠坂という名のついたいわれであった。
この坂の、のぼることも降りることも躊躇される、その中途に、さらに細い道が横に切ってあって、その奥に朽ちかかった門柱が見える家があった。その家の門は、月のうち、二三日を除いて、滅多に開かれることがなかった。門の鈴がリリリンと冴えた音をさせる日は、大抵月の上旬にきまっていた。もし気をつけて垣の間から窺っているならば、訪客は夜分にかぎり、そして年齢のころは皆、四十から下の比較的わかい男女であって、いずれも相当の身姿をしていることが判ったであろう。
帆村探偵も、その夜の客に交っていたのだった。
彼は階下の待合室で、順番を待っていた。一座には、袴をはいて頤の先に髯を生やしている男が、しきりに心霊の物理学について論じていた。その隣りには、半年前に夫を喪ったというまだ艶々しい未亡人だの、その姪にあたるという若い女だのが居流れていた。