Classici giapponesi con furigana
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せいこのしじん
西湖の屍人
海野 十三
Leggi 西湖の屍人 (せいこのしじん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.487 caratteri · 39 schermate
帆村はひとり離れて下座にいた。手を伸ばすと、寒そうに光っている廊下が触れる。その廊下を出ると幅の狭い段梯子が、二階へつづいていた。
「ボワーン」
と小さい銅鑼をうったような音響が、その段梯子の上から流れてきた。
「貴方の番ですよ」
と、頤髯のある男がお喋りを中止して、帆村の方に合図をした。
帆村は恭々しく頭を下げると、しびれのする脚を伸ばして立ちあがった。
階下の明るさにくらべて、段梯子のうえは、暗闇にちかかった。彼は手さぐりに、のぼって行った。最後の段をのぼりきると、目の前には異様な光景が浮びあがったのだった。
十畳敷ほどの間が二つ、障子があいていた。薄ぼんやりと明りがついている。小さいネオン燈が、シェードのうちに、桃色の微かな光線をだしていた。床の間を背に、こっちを向いて坐っているのは、婦人だった。暗くてよくは判らないが若くはない。その隣には、懐中電燈の載った小机を前にして頭の禿げあがった老人がいた。もう二人、背広姿の若い男がいて、これは婦人の前に畏っていた。
「では大竹さん」と老人は、隣の夫人に呼びかけた。
「序に、も一つやってあげて下さい」
大竹さんと呼ばれた婦人は、無言で肯いた。