Classici giapponesi con furigana
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ゆうかいしゃ
誘拐者
山下 利三郎
Leggi 誘拐者 (ゆうかいしゃ) di 山下 利三郎 (やましたりさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7834 caratteri · 16 schermate
渡邊は苦笑しながら、
「今朝の事件に関係があるんですか」
「まアそうだね」
「随分複雑してるじゃありませんか」
「なアに平凡さ、新田の爺さんは可愛想に運を掴み損なって居るんだね」
道は稍通行人が少くなって、店舗は稀にしかない住宅区域の、郊外に近いところまで来た、と見ると新築間もない小締りした家の格子を、腹掛をした帳場の親方らしいのが雑巾がけをして、中では未だ片附かぬらしい物音が聞える、新しい標札をチラと見た春日は帽子を取て、
「御免下さい」
と案内を乞うた。玄関の障子を静に開けて丸髷の初々した二十二三の美人が、淑かにお辞儀をした。
「中岡さんがお在宅なら一寸御面会願いたいですね」
名刺を差出すとどうぞ暫くと、云い残して二階へ登って行くと入違いに快活な三十歳位の男が降りて来て磊落な語調で
「サア上って下さい、移転早々で取乱して居ますが、どうぞ二階へ」
「じゃ失敬します」
渡邊の耳元へ低声でいておいて、自分独りで二階へあがっていった、軈て低い春日の声に混って、主人の太い声が断片的に洩れて聞えてくる。
「……、そう責められると今更弁解がありませんな。