Classici giapponesi con furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Leggi 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.569 caratteri · 336 schermate
少女はあちこち逃げまわり、広場をよこぎってきて、トニイのやたい店のかげにかくれました。酔ってる水夫たちは、もう少女にはかまわないで、花をうちふりながら、向こうにいってしまいました。
ぼんやりつっ立っている少女の姿を、トニイはじろじろながめました。
「どうしたんだい」
声をかけられて、急に、少女はしくしく泣きだしました。
「ばかだなあ。泣くことがあるもんか」
少女は泣きやんで、びっくりしたように目をみはりました。ふかぶかとした青い大きな目でした。
「向こうで何をしていたんだい」とトニイはたずねました。
少女はしばらくじっとしていて、それから答えました。
「あたし、花売りにでたの」
「花売り? 君は花売り娘かい」
少女はうなずきましたが、そのひょうしに、またはらはらと涙をこぼしました。
「泣きむしだなあ、君は。泣きむしの花なんか売れるもんか。あんなところに立っていたって、花は売れやしないよ」
少女はトニイを見つめました。トニイはいいました。
「君はまだしんまいだな。今日からはじめたんだろう。そうだろう。よろしい、僕はこの絵はがき屋のトニイだ、僕の店をすこしかしてやろう。