Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.351 caratteri · 43 schermate

Aozora Bunko

おれはあにきが側にいねえと、年寄りの男やもめみたようなこころもちになっちまうんだ。

――おい、正直に云え猪之、なにがあって江戸にいられなくなったんだ。

――あにきも疑ぐりぶけえ人間だな。

――云っちまえ、なんだ、梅本の話か。

――冗談じゃあねえ、あれからすぐに、あいつのほうははっきり断わっちゃったさ。

――じゃあなんだ。

藤吉は手を緩めずにたたみかけた。やがて猪之は隠しきれなくなり、それなら本当のことを云うが、あにき怒らねえか、と神妙な眼つきをした。わからねえ、と藤吉は答えた。怒るか怒らねえかは聞いたうえのことだ、云ってみろ。弱ったな、と猪之は云った。

――こいつは弱った、猪之は口の中で、しかし藤吉に聞えるように呟いた。こいつはまるで首の座に直ったようなもんだ。

藤吉は黙っていた。それで猪之は、いかにも閉口したように、吃り吃り白状した。ひと口に云うと、近江屋のお松がいやになった、あの話は断わってもらいたい、というのである。藤吉はかなり長いこと眼をつむって、怒りのしずまるのを待った。

――おめえは三度目の正直と云った、と藤吉は忍耐づよく云った。こんどこそまちげえのねえ相手だと云ったろう。