Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

おどるちへいせん

踊る地平線(上)

谷 譲次

Leggi 踊る地平線(上) (おどるちへいせん) di 谷 譲次 (たにじょうじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 168.926 caratteri · 332 schermate

Aozora Bunko

じっさい、水のみの字も、その特定の靴の内部のほかには、一さい認められないのだから、こうなるとこれは、過失でもまちがいでもなく、あきらかに何人かの悪戯か復讐か挑戦かに相違ないという、じつにおだやかならぬことになる。私の頭は、早やいそがしく嫌疑者の列挙につとめ出した。が、いぎりすへ来て数週間、私たちはさらさら人のうらみを買うようなことをした覚えはないし、またわざわざこんな奇計を弄してまで、私たちに戦いを挑む人も理由も、見わたすところありそうに思えない。すると、当然これは誰かのいたずらなのだろうか?――と、私が、すぐ前の彼女の眼を見詰めて思案していると、彼女も固く口を結んで私の眼をみつめ返していたが、このとき彼女が、低い声を出して私を驚かした。部屋の空気は、いつの間にかそれほど窒息的に重大になっていたのだ。

『泥棒が入ったんじゃないでしょうか。』

これも一つの意見である。

『泥棒――そうかも知れない。』

と言いながら、私はてっきりそれに違いないと思った。盗賊が、じぶんのはいった家に、迷信、もしくは単なるいたずら気から、色んなしるしを残しておくことは、日本にも西洋にもよくある。