Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おどるちへいせん

踊る地平線(上)

谷 譲次

Leggi 踊る地平線(上) (おどるちへいせん) di 谷 譲次 (たにじょうじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 168.926 caratteri · 332 schermate

Aozora Bunko

』

『そも何が汝をしてしかく思わしめしや?』

『だって、暑さには慣れておいででしょう? お国は素敵にあついんじゃありませんか。』

『われらは故国において相当暑き夏と、相当さむき冬と、ちょうどよきところの春と秋とを持つ。』

『ひゃあっ! 年が年中べらぼうに暑いってえじゃありませんか。うそですか?』

『否。そは断じて事実にあらず。』

会話の速度が早まるにしたがい、私は一そう切口上だ。床屋は非常に不服そうな顔をしている。

『そうですかねえ――ばかに暑いってことを聞いたがなあ。うそですかねえ、すると。』

そこで私は、念のために訊いてみた。

『汝は果して世界のいずくに関して談じつつあるや、われこれを疑う。』

すると床屋が言下に応答した。

『印度じゃありませんか勿論――お顔は? お剃りになりますか。』

『否!』

『洗髪は?』

『否!』

『おつむりへ何か?』

『否!』

『香油でも――。』

『否!』

八片おいて出てくるときひょいと鏡を覗くと、真赤に憤慨中の「印度人」が、この小さく傷つけられた民族の誇りに、いよいよ昂々然と刈りたての頭を高く持しているのを発見した。

戸外は、それこそ印度猛夏の日中だった。